短鎖脂肪酸と食物繊維

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エサとなる食物繊維を取り入れ善玉菌を育てる「プレバイオティクス」

善玉菌のエサとなる食物繊維を日常的に摂ることによって、腸内の善玉菌を活発に働かせる「プレバイオティクス」という考え方が近年注目されています。プレバイオティクスは自分に合ったものを探す必要もなく自分の腸内にいる善玉菌にエサを与え育てるので、とても効率的です。善玉菌が食物繊維をエサとして食べて発酵すると、善玉菌が増加し短鎖脂肪酸がたくさん産生されます。たくさん産生された短鎖脂肪酸は、こちらで紹介したように全身の健康に良い影響をもたらすのです。

エサとなる食物繊維を取り入れ善玉菌を育てる「プレバイオティクス」

外から善玉菌を補う「プロバイオティクス」

ヨーグルトなどの発酵食品により、外部から善玉菌を腸内に取り入れる方法は昔から食生活の中で行われています。このように腸内フローラのバランスを改善するために、宿主であるヒトに有益な作用をもたらす生きた微生物を摂取することを「プロバイオティクス」と言います。プロバイオティクスでは一度に何億個もの善玉菌を取り込むことができ、取り込まれた善玉菌の一部は腸内環境を改善してくれます。しかし、自分に合ったプロバイオティクスを選ぶ必要があったり、自分の腸内フローラの一部として定着させるのが難しいという側面もあります。プロバイオティクスとプレバイオティクスを両方行うことで、外部から善玉菌を取り入れながら、同時に常在する善玉菌を活性化できるため、より効率良く腸内環境を整えることができます。両方を取り入れることを「シン・バイオティクス」と言います。※A-21

外から善玉菌を補う「プロバイオティクス」

大腸劣化は防げる!「短鎖脂肪酸」を増やすなら水溶性食物繊維

大腸劣化を予防・改善するためのカギを握るのが「短鎖脂肪酸」です。短鎖脂肪酸を増やすためには、善玉菌のエサとなり、発酵を促す食物繊維を摂取して善玉菌に短鎖脂肪酸を作り出してもらうことが必要です。食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられますが、善玉菌がエサにするのは主にβ-グルカン、フルクタン(イヌリンを含む)などの水溶性食物繊維です。そのほか、レジスタントスターチは不溶性食物繊維でありながら水溶性食物繊維のように善玉菌のエサとなることが知られています。 善玉菌のエサとなる食物繊維を積極的に摂取することが、短鎖脂肪酸を増やし、大腸劣化を予防・改善します。しかし、善玉菌のエサとなる食物繊維は普段の食事から十分な量を摂取するのが難しいと言われています。「食物繊維」というとキャベツやレタスなどをイメージしがちですが、葉物野菜にはあまり含まれていません。食物繊維は大麦や海藻類などに多く含まれますので、是非意識して摂るようにしましょう。

大腸劣化は防げる!水溶性食物繊維で「短鎖脂肪酸」を増やす

<関連論文>

※A-21) Markowiak P, Śliżewska K. Effects of probiotics, prebiotics, and synbiotics on human health. Nutrients 2017; 9: 1021.